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※テキストはWikipedia より引用しています。

その日、私はバスルームのハウスクリーニング見積書を依頼するために、業者に来てもらった。掃除や換気には人一倍気を付けていると自信を持って言えるのに、カビが絶えないのだ。塩素系洗剤を塗布して時間をおいてみても、どうしても上手くいかない。それでこの際と、プロの手を借りることにしたのだ。 約束の時間にやってきた業者はバスルームを見て頷き、その場で見積金額を入れていく。「何をやっても落ちなくて」とこぼす私に、大丈夫ですと断言する、「カビの根が残っているのかもしれませんね」。もらった見積書の金額は想定の範囲内の常識的な金額だし、若いのに誠実そうな人柄に、私はその場でクリーニングを依頼したのだ。 施工日にやって来たのは2人、先日見積に来た人ともう1人若い人。そのもう1人の若い人がバスタブの側面を指して「開けていいか」聞いてくる。そこはエプロンと呼ぶのだそうで、外して掃除するのだそうです。私はそんなところを触ったこともなかったのですが、開けてびっくりとはこのことで、カビの温床とはまさにこのことです。思わず絶句するほどでした。 そこを高圧洗浄でキレイさっぱり洗ってから、バスルーム内の掃除に取りかかるとのことで、私はエプロンの外し方と効果的な掃除の方法をついでに教えてもらいました。「ここが外れることを知らない人もたくさんいますよ」、業者が慰め顔で言う。「外れないタイプの浴槽もありますからね」。いやあ、知らないってこんなに恥ずかしいことだったなんて。 お隣の奥さんが果物を持ってきてくれたのでしばらく話に花を咲かせ、彼女が帰ってから程なくバスルームの掃除が終わったとのこと。ビフォア・アフターではないけれど、見違えるようにピカピカになっていました。洗剤そのものも違うのでしょうが、やはりプロの仕事は違います。「後は、一番最後に出る人が軽く水分を拭き取るだけでも違うと思いますよ」、それは私だな。「このキレイさを死守出来るかしら」との私の呟きに、業者さんはにっこり微笑んで帰って行きました。